主役様だよ、

 
 
 
先月 無事千穐楽を終えて、幕を閉じた
『照くん、カミってる!〜宇曾月家の一族殺人事件』
 
舞台初挑戦ながらに、座長を務めた知念さんと
照カミに対する私の感情を、忘れたくない備忘録。
 
 
 
 
この舞台が発表されたのは、遡ること2020年2月3日。
 
ずっと、ずっと待っていた単独初主演の舞台が決まった。舞台が決定した嬉しさの中で、世界を脅かす感染症が広まっていった。様々なイベントの中止が告げられていく中で、照カミも、幕が上がることなく〝全公演中止〟となった。知念さんから届いたメッセージ。頭を下げて 謝る姿に心を痛めたが、悔しい感情を見せながらも、柔らかい表情で優しく、語りかけるように出てくる前向きな言葉たちに、救われた気がした。いつか照くんに会えることを願って、色々な感情に蓋をした。
 
 
そして 2021年2月28日、
照カミが約1年越しに上演されることになった。
 
まだ気は抜けないけれど、少し落ち着いたように感じる情勢の中、この知らせは何ものにも代えがたい希望だった。何より、キャストがほとんど変わる事なく再演の機会を頂けたことが嬉しくて。去年中止が決定した時「気持ち良く、不安がない中でエンターテイメントを楽しんで欲しい。届けたい」と言っていたので、私はこの舞台を守れるように努めるんだ……知念さんのエンターテイメントを、受け取るからな!と意気込み、より一層 感染症対策に励んだ。
 
 
だけど、チケットは用意されなかった。去年当選していた自名義さえ、見事に散った。チケットが手元にない悔しさに、その場にいるだけでいいから…と、一般で確保して喜ぶ半面、感染者〇人…毎日増えていく数字を見るのが怖かった。〝たかが娯楽、されど娯楽〟私にとって、知念さんのエンターテイメントを受け取ることは惜しみたくないものだった。案の定、再度 緊急事態宣言が発令され、5月11日までの舞台は中止になった。去年と変わらない状況に、なんだか 申し訳なく感じた。
 
その後 大阪公演は中止になったが、東京公演は5月12日から日程通り行われることになった。状況は変わらないのに、たった数日違うだけで…と紙切れになったチケットを見てやり場のない感情に襲われながらも、どうか初日が無事に迎えられるよう願った。
 
 

2021年5月12日、初日。
朝から #照くんカミってる がトレンドに入り、たくさんの人がこの舞台を待ち望んでいた事を感じられた。カンパニーの皆さんが発信した言葉に緊張感が高まり、朝からなんだかソワソワしていた。知念さんの記念すべき初舞台、初日を観劇したい気持ちは山々だったが、この日を迎えられた嬉しさの方が大きかった。 
 
 
初日のカテコにて、舞台の真ん中に立つ知念さんが
「長らくお待たせしましたが、
   これが照くん、カミってる!です」と言っていた。
この言葉を聞いて、私の中の照カミが やっと動き出した気がした。〝共演者さん含め、知念さんも涙ぐんでいるように見えた〟そんなレポから、やっと日の目を見ることが出来たんだ…と感慨深くなり、それと同時に 残りの本番を終え、座長である彼は千穐楽でどんな表情をしているだろう。観劇する日が待ち遠しかった。
 
 
 
そうして 5月15日 良い天気にも恵まれ、私の中での初日を迎えた。アクスタやさぼねんを手に写真を撮る光景がそこら中にあって、久しぶりに感じた現場の高揚感。知念さんに会うのは約1年半ぶりだった。太陽に照らされたグローブ座の大きな看板を目にして、胸が高鳴った。QRコードで発券したのも、いつぶりだろう。あのドキドキはいつになっても褪せることはない。
 
 
初めてのグローブ座は想像していたより、ずっと小さな会場だった。何より、用意されていた席があまりにも近かった。少し緊張していたけど、開演約3分前 知念さんによるアナウンスでホッとしたのを覚えている。「なんか急に出てきちゃってすいません、知念侑李でしたっ♪」で締まるアナウンス。この語尾に音符がついたような、スタッカートするように弾む自己紹介が Hey!Say7 UltraPower時代、まだ若い頃の知念くんが脳裏に浮かび、しみじみした。
 
 
 
観劇した私「気付いたら、照くんだった…」
 
手に届きそうなくらい、目の前で繰り広げられた照カミの世界。登場した時こそ 知念さんだったけど、気付いた時にはもう〝照くん〟だった。出番じゃない時、舞台の端にいた照くんがあまりにも近く、目線が合いそうになっては俯いてしまう程だった。そんな煩悩と戦いながらも〝そこそこ〟本格ミステリーと、しっかり笑えるコメディーが交錯し、映像やテロップが使われ、観客を置いていくことなく物語は進んでいく。コメディー要素のある舞台の観劇は初めてだったけど、想像以上に気持ち良く笑えた!随所に散りばめられたコミカルな演技と観客の笑い声、『舞台は生もの』この言葉の通り、それさえ作品に反映されているようで、カンパニーの一員になれた気分だった。
 

登場シーンは今回のタイトルにした「主役様だよ!!」という台詞、痺れた。いたジャンで「ダンス…『自分だろ』というくらいの自信がございまして」と言っていたように、OPのダンスを通して表現する姿は知念さんそのもの。最高に眩しくて、最高にかっこよかった。
 
 
終始 照くんは、様々なパターンの「めんどくせぇ」を連呼する。「ウルトラスーパー鬼めんどくせぇ」に関して、UMPを浮かべてしまう人は私だけじゃなかったはず。ストレスで伸びる髪という演出、おかっぱ姿に「僕の好みだ……」や「可愛い…」という台詞が飛び交い、歌舞伎ヘアに至っては、顎下をリボン結びで固定されていたから、可愛い。今回、化粧せずスッピンで舞台に挑んでいたようで、声を荒げる度に顔が赤くなったり、演技ではないナチュラルな仕草にドキッとした。
 
スマホを触る仕草が妙にリアルだったり、考えている時 口に手を置く仕草や 前髪を人差し指でファサッってやる いつものアレだったり、私の知っている〝知念さん〟が垣間見えた瞬間は なんだか嬉しかった。
 
 
めんどくさい精神やダンス、「可愛い」の台詞 等、私たちが想像する 知念さんの〝人物像〟がたくさん詰め込まれているように感じた。劇中のダンスやアクロバット、舞の演出は特に。しなやかで丁寧且つ、振付に合った表情や目線の乗せ方、ブレないアクロバットも〝照カミ〟という作品の一部だった。私たちの〝観たい〟が演出家さんの〝魅せたい〟に繋がった(かもしれない)こと、知念さんの強みだと思っている表現が演出を通して、間接的に評価していただいているかのようで、誇らしく感じた。
 
 
カテコでは いつも通り、美しい佇まいで舞台の中心に立ち 観客を見上げる姿…私が好きなエンターテイナーがそこにいた。お辞儀をする際、手が腰の位置に添えられていて「生粋のジャニーズだ!!!」と血が騒いだ。
座長である知念さんからは、足を運んでくれた感謝の言葉と「電車 等乗られるかと思いますが、気を付けて帰ってくださいね…」この状況に対しての優しい心遣いを見せてくれた。同じ公演の見学席には 有岡くんに裕翔、圭人もいたらしい。
 
 
 
2回目の観劇では、カテコにて「声大きいでしょ?」と 嬉しそうな表情を浮かべた知念さんから「照カミ……配信決定しました!!」との報告が。右腕を上げてジャンプしながら、無邪気に喜ぶ姿。そんな座長を見るカンパニーの皆さんの優しい表情と、祝福の拍手で会場を包む空気がとても温かかった。「公式の発表まで待つ…?」という話になった時、「いいんじゃないですか?電源入るようになったらジャンジャン言ってもらって」と知念さんが口を切ったり、共演者にはカテコまで内緒にしていたようで、随所で座長であることを再認識した。
 
 
 
あっという間に、千穐楽の日を迎えた。生配信はグローブ座の歴史の中でも初の試みだったらしい。予定していた半数の公演は中止になってしまったけど、誰一人欠けることなくこの日を迎えることが出来て本当に良かった。3,500円という破格で、自宅でも照カミの世界を満喫した。カンパニーを引っ張っていた座長は回数を重ねるごとに声が通り、心做しか表情に余裕も見えた気がした。
 
 
本編が終わり、一度暗転。照明の光に照らされ、お辞儀をした知念さんは「ふ~っ…」と大きく息を吐いた。​​舞台発表から約1年半 演者として、座長として、背負ってきた物の大きさを この姿が物語っているように感じた。
 
 
カテコでは千穐楽ということもあり、共演者の皆さんから一言いただく機会があった。そんな中で「知念くんには沢山お芝居をやってほしい」や「この舞台を通して知念くんの成長を見ることが出来た」さらに「僕も知念くんのファンになりました」等、本当に嬉しい言葉ばかり、たくさんの愛で溢れていた。演出家の河原さんからは「2(続編)はやる…許可はとってないけど」と客席から、声を大にして言ってくださった。
 
体を傾け、話を聞いていた知念さんは 1つ1つの言葉が心に沁みているような、感慨深い表情を浮かべていた。特に、シューさんからは「回数を重ねてもカテコの挨拶が…ねぇ…」と言われたもんだから、自分の挨拶の途中 ニンマリしていたシューさんの方を見て、「そうやって、もぉ~~」って、恥ずかしそうに地団太を踏む知念さん……可愛くて仕方なかった………シューさんには頭が上がらない。そんな仲睦まじい光景が繰り広げられ、共演者とのやり取りが凄く自然体だったことに ジーンとした。去年「稽古場に行くのが怖い」そう言っていた知念さんからは想像できない表情だった。
 
 
 
初めてのスタンディングオベーションに「おぉ~…!」と圧倒されながれも、嬉しそうに会場全体を見渡していた姿が目に焼き付いている
 
きっと見たことない、新しい景色を見せてあげることが出来たのかな。この先も 見たことない景色や、味わったことがない感情を与えられるようなオタクでありたい、と心から思った。
 
 
配信を通して 救われた気持ちがあったり、SNSで作品や知念さんに向けられた言葉に共感したり、配信ながらの画角で新しい発見があった。そして、さすがアイドル!カメラを見つけるのが早かった。去り際まで凛とした表情で、配信を見てる人に向けて笑顔で手を振ってくれた。グローブ座にいなくても 最後まで寄り添い、その場にいるような気分にさせてくれた。
 
 
 
幕が下り、華役の夏美ちゃんのツイートが流れて来た。そこには千穐楽公演の数分前、知念さんによって撮られた賑やかな集合写真。照くんがそこに居るかのように、皆さん本当に良い表情をしていて、写真1枚からも温かく雰囲気の良いカンパニーであることが伝わってきた。
  
それは、SNSを通しても感じていた。夏美ちゃんは、稽古での和気あいあいとした日常を教えてくれたり、シューさんはブログで座長への労りの言葉を何度か掛けて下さった。オタク顔負けのハッシュタグ芸で、知念きゅんへの溺愛っぷりを披露してくれた川久保さんの更新が楽しみになっていた。Mステのネガティブファイターでは、知念さんが曲中 照カミに関するポーズをとると、その度にカンパニーの皆さんが反応してくださり、照カミ以外の世界でも 座長の活躍を喜んでくださった。
 
 
パンフレットでも、知念さんの名前がたくさん挙がっていた。「かわいい」という声が一番多かったけど、座長として頼もしく、ベテラン陣のアドリブに動じず食いつき、吸収が早いこと、意識していなくともカッコよく見える魅せ方を分かっている、と。
 
演出家である河原さんは〝会った時「かわいいな」と思った。だから絶対かわいいことをさせちゃダメだ。マイペースでぶっきらぼうで、愛想がない役をやらせたい。そういう要素がどこかあるんじゃないかな〟とあり、なんだか思考が知念さんに似ている気がした。
 
また「舞台での芝居経験が少ないなりに、座長として真ん中に立つ責任を果たそうと、とにかく真面目に、一生懸命取り組む覚悟を見せてくれている。だからこそ周りもサポートしたくなるのだと思う」と言ってくださったように、知念さんがこの作品に向き合う姿勢を 近くで見てきた皆さんからの言葉は心強く、余計嬉しかった。
 
   
 
 
少し話は逸れるけど、5月に発売された ananで
〝メタモルフォーゼの瞬間〟という、目を引くタイトルがつけられた 知念さんの記事。その見出しに「知念ならできると思われていることが本当に怖い」という言葉、激動だった。その言葉に吸い寄せられるようにレジへ持って行ったが、なんだか読むのが怖くて舞台が終わるまで読めずにいた。
 
テキストには照カミや仕事への不安をこぼした知念さん〝とはいえ知念さんのことだから、やりこなしてしまうに違いない〟という記者の想いに対し、
「本当はそういうタイプじゃないんです…出来るだろうという想定で台本が作られているなと思うことが結構あって、それが本当に怖くて」とあった。「今後はそのイメージを、出来ない時はありのままの姿も見せていきたい」と。
 
 
確かに、私から見ても知念さんは器用だな…と感じることが多い。ポテンシャルも含めるが、これは見せない努力を続けてきた証拠として。新しい演技の仕事が決まる度〝演技の仕事が怖い〟と言っているけど、照カミを終えて知念さんは何を得ただろう。今は肩の力を抜いて、またの機会にその想いが聞ける日が来たら。続編決定の時にでも。
 
 
私たち観客がこの作品に触れる前から〝連ドラを考えている…キャスト変更なくシリーズ化したら〟という声が上がっていた。知念さん同様に、カンパニーの皆さんから愛される作品になったこと、本当に嬉しい限り。再び集まった時、最初はまた よそよそしくなる気がするけど、帰ってきた安心感を抱いたり、飲み会が出来る世の中になっていたら、お酒を交わし、新しい一面を見せたりして、そんな裏話を聞ける日が来るのかな。
 
 
 
 
舞台の間に生放送をこなす怒涛のスケジュールでも、知念さんはメンバーと楽しそうにしており、パワフルなパフォーマンスを見せてくれた。以前「外の仕事をしてグループに帰ってきた時、メンバーの顔を見ると安心する」と言っていたように。同時期に舞台に励んでいた雄也や、観に来てくれたメンバーの存在も大きかったはず。暖簾は〝僕の尊敬するリーダーですから〟と有岡くんに頼んだらしい、写真求ム。
 
 
 
コロナ禍ということもあり、本来なら気を遣わなくていい所まで神経を尖らせていただろうし、未経験ながらに座長というプレッシャーであったり、計り知れない程 たくさんの荷物を背負っていたと思う。去年の稽古での表情が怖かったと、カテコで言われるくらいに。去年の稽古が始まる前から、取材で不安・心配といった感情をいつも以上に多く見かけた気がする。だからこそ、カンパニーの皆さんに囲まれて「あぁ~楽しかったなぁ、僕も」と噛み締めるように言っていたり、「照カミが初めての舞台で良かった」という言葉が聞けて良かったし、とても晴れやかな表情をしていた。
 
 
 
「このご時世ではありますが、劇場では現実を忘れて 気軽に、好き勝手に楽しんで欲しいです」と初日の取材で言っていた。知念さんらしい言葉だった。エンターテイメントを受け取る私たち、それぞれが感じる想いを大切にして欲しい という気持ちがあるのだろう…と私なりに考えてみたり。
 
現場に行って、知念さんに会い、何も気にせずエンターテイメントを楽しんでいた今までは、全然当たり前なんかじゃなかった。この機会で改めて実感することが出来た。
 
 
 
危険を踏まえながらも 対策をしてグローブ座に足を運んだ人、自分・周りの為を想って行かないという判断をした人、行く予定だった公演が中止になってしまい 惜しくも配信に切り替えた人、配信なら…と作品に触れてくれた人、それぞれが色々な想いを抱えて この作品に向き合っていたように感じるけど、この情勢下でエンターテイメントを楽しむことに正解なんて無くて。この先、何を気にする事もなく 素直に楽しめる日々が戻って来て欲しい。その時は席いっぱいにお客さんがいる光景を見せてあげたい。
 
 
だからこそ続編では、この情勢が落ち着いた頃 照くんに会えたらいいな。余計なことに気を取られず、誰でも楽しめるように。照くんに、照カミ カンパニーの皆さまに また会える日を心待ちにして。
 
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「解けちったよ、めんどくせー」